遭遇の朝

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病院はまだこんな時間だというのにもう活動している。 「病院って朝早いんだな」 と、当たり前のようなことを口にする。 現在6時40分。 いつもなら陸上の朝練をしている時間だが、引退したしこの足じゃなにも出来ない。 「思い出すのは止めよう。もう終わった事だ」 俺はもう陸上はあきらめた。 これからは別の道を目指す。 そう心に決めた。 「そうだなぁ、気分を変えるために外に出るか」 縁さんに許可を求めると 「えっ、外?良いよ。いってらっしゃい」 すんなりOKがでたってことで、俺は部屋に戻り服を着替えた。 ギブスが太いとか、足が曲げれないとかで着替えるのにかなり手間が掛かった。 試行錯誤し、十五分掛けて着替え完了。 「なんか久し振りに外にでた気がするな~」 もちろん中庭を除いて。 俺は病院の前の坂道を気分爽快なリズムで下った。 吹き抜ける風が凄く心地よかった。 「なんか松葉杖にも馴れたな」 馴れてしまえばもう足同様だった。
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