遭遇の朝

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しかし、調子に乗っているとろくな事にならないのが俺が一番わかっていたのに…… 「ピョンピョンピョーン、なんてな」 思い切り乗っていた。 すると、前の十字路から一人の少女が顔を出していた。 「!?」 時、既に遅し。 ドン!! 「キャッ!」 「うおっ!」 俺はその少女にぶつかりあろうことかとんでもない体制になっていた。 ぷにっ あ、なんか手に何かすごく柔らかくて心地いいものが。 まさか……胸か。 「手、放して!!」 少女は顔を赤くして涙目で俺を押した。 だが、少女の力で大の男である俺が持ち上がるわけがないのは当たり前である。 「ゴ、ゴメン」 俺はすぐに手を放して彼女から離れる。 すぐに吹っ飛んだ松葉杖を回収して立ち上がった。 「ゴメン。わざとじゃないんだ。ほんとゴメン」 俺は松葉杖を使った状態で無理矢理頭を深く下げた。 「………エッチ」 パリィーン 俺の中で何かが崩れ去った音が響いた。 少女は落ち着いた澄んだ声でそう言った後、顔を赤くして去っていく。 「ハァ、なんてこった」 調子に乗った後はいつもろくな事が無い。 俺はため息を吐いた後、心の中で深く謝罪した。 「自分以外の人に…初めて触られた……」 去っていったはずの少女が十字路を見ていた事に俺は気付かなかった。
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