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お互いの過去
結局あの後自重してすぐに戻った俺である。
「いててて、散々な目にあったな。……まぁ俺のせいだけど」
俺はさっきの事を考えながら手に残った感触を確かめた。
「結構柔らかかったな」
頭がボ~としてきた。
「ハッ、いかんいかんこれじゃただの変態じゃないか」
頭を振り雑念を振り払う。
そのとき後ろからいきなり声かけられた。
「誰が変態なんですか?」
………………ん?
「うわぁ!?ゆ、縁さん!!」
き~~ん
声が病院の廊下じゅうに響き渡った。
周りの人は全員こっちを見ていた
「いきなり大声出さないで下さいよぉ~。耳鳴りがしますぅ」
縁さんが耳を抑えながら潤んだ目でこっちを見ている。
「す、すみません。いきなり声かけられたからびっくりして。そ、それで縁さん、何かようですか?」
俺はさっき聞かれた質問を覆い隠す様に話題を変えた。
「あぁそうそう、樹の下に春宮さんがいましたよ」
そう言われて時間を確認。
時刻は十時
「もうこんな時間か。ありがとう縁さん」
俺がお礼を言って焦る様にこの場を離れようとすると
「あれ?私なんか浅風さんに話さなかったっけ?」
「話してない話してない、それじゃ」
完全否定したあと俺は縁さんから逃げる様に大樹に向かった。
後ろで縁さんが首を傾げているが戻ったら終わりだ。
捕まらないうちにすぐさまこの場から離れた。
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