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俺は縁さんから逃げてすぐに大樹についた。
と言っても松葉杖を使っていたから10分はかかった。
大樹のもたれかかっている女性を見つけて声をかける。
「乙葉。ゴメン、待った?」
風に吹かれて安らかな表情をしていた乙葉だが、俺が呼びかけると無垢な子どものような笑顔になった。
「いえ、私も今来たところです。時間を決めてなかったからどうしようと思ってました」
今来たと言うのは嘘だ。
さっき縁さんが見たのだから、それよりも前に待ってたと思う。
「乙葉。今日はなんの話をする?」
乙葉に質問
「私は…颯人さんの事が…知りたい……です」
うわぁぁ、耳まで真っ赤。
でも恥ずかしがってるその顔が凄く可愛かった。
俺は意地悪に
「俺のなにが知りたいの?」
と聞いた。
「えっ!!そ、それじゃ颯人さんのお父さんやお母さんの話が聞きたいです」
乙葉は顔を赤くしながら興味津津な顔で聞いてきた。
その顔は紙芝居を見る子どもを思わせた。
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