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「俺の両親?」
「はい!」
「でも、あまり面白くないよ」
「いいんです。私は颯人さんが家族にどんな風に育てられたのか知りたいんです」
乙葉は凄く顔を近付けて
「駄目ですか?」
と言う。
女性に免疫があるとは言えない俺が、こんなに近づかれたら頭が爆発しそうだ。
「……うん。良いけどそれ以上近付かれたらちょっと話しにくいかな?」
吐息のかかりそうな距離。
「ご、ごめんなさい!!」
自分がどんな状態かわかって離れてくれた。
乙葉って結構天然なのかもしれない。
ドクン ドクン ドクン
心臓の鼓動が早い。
とりあえずなんか話そう。
「じゃあねぇ、俺の母さんの話でもしよっかな……ちょっと暗い話になるけど、いいかな?」言っておいてなんだが過去なのか?
でも乙葉は気にせず
「はい。是非」
と、早く早くといった感じで待っている。
「それじゃあ……」
と心の中の記憶を映写機のように思い浮かべながら、俺の口から記憶を流す。
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