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俺が話し始めた時、さっきまで照りつけていた日差しが雲で隠れた。
「俺は八才の時に母さんを殺してしまったんだ」
「えっ!?」
十一年前……
その日は雨が降っていた。
少量だったが、朝からずっと霧がかっていて、視界は悪い。
そんな日の学校の帰り道、母さんの誕生日だったから、急いで家に帰った。
家に着いて家事が一段落ついた母さんを半ば強制的に一緒にプレゼント買いに行ったんだ。
母さんはそんな俺の心遣いが嬉しいのかずっと笑顔でいる。
俺も母さんのもっと喜ぶ顔が見たくてすぐにプレゼントを買いに行きたかった。
この時程自分が子どもだった事を怨んだことはないよ。
気さくに学校の話をしながら母さんを見ながら走って、交差点を曲がろうとしたんだ。
そのとき、木を積んだトラックがクラクションを鳴らしながら俺の方に迫っていた。
突然の出来事に俺は身動きすらできなかった。
びっくりして目を瞑った時、横から強く押し出された。
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