お互いの過去

11/12
前へ
/147ページ
次へ
『乙葉ちゃんへ  この手紙を読む時には私は  もういないかもしれないわ  ね  だけど一つだけ言わせてく  ださい  私は乙葉ちゃんの笑顔が大  好きです  これからもずっと笑顔でい  てね  私はずっと空から見てるか  ら  乙葉ちゃんをずっと見守っ  てるからね  この手紙と一緒に入ってい  る指輪だけどね  孫に渡すものだったんだけ  ど  もう渡せないわね  もし孫と会う事があったら  渡してもらえないかな  もし孫と会えなかったら貰  ってください  最後に  乙葉ちゃんとあえてよかっ  たわ  短い間だったけど、いまま  でありがとう  本当にありがとう     おばあちゃんより』 ポタッ ポタッ 乙葉は涙を流しながら手紙を読んだ。 「グスッ…おばぁちゃぁぁん…グスッ…お礼を言わなきゃいけないのは…グスッ…私の方だよぉ…グスッ」 乙葉の涙は手紙を濡らしていく。 指輪を握り締めずっと泣き続けた。 知らない間に看護婦さんの姿もそこにはなかった。 「おばあちゃん…グスッ…私…頑張るよ…どんなにいじめられたって…ずっと笑顔を忘れないから」
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加