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重い扉を開くと、屋上で女の子が髪をなびかせて立っていた。
俺はゆっくりと歩み寄り、渇いた口をゆっくりと開く。
「待たせてゴメン。わざわざ来てくれてありがとう」
彼女はどれくらい早く来て待っていたんだろうか。
多分真面目な彼女の事だから、かなり早かっただろう
「いえ、大丈夫です。あの、話ってなんですか?」
正直告白の言葉なんて考えていなかった。
キザな台詞なんて自分には合っていないだろうし、軽いノリみたいな言い方だとそれこそ最悪だろう。
考えていても仕方ない。
覚悟を決めて、ベタな告白をする。
「俺…お前の事がずっと好きだった」
「え!?……」
「俺と付き合って欲しい」
彼女は顔を赤くして戸惑っている。
沈黙が続いたあと彼女が口を開く。
「先輩……ごめんなさい私もう付き合ってる人がいるんです。気持ちはすごくうれしいです……でも…本当にごめんなさい」
そんな気はしていた。
もしかしたら彼女も気付いていたのかも知れない。
そして、何故か自分が情けなくなってきた。
「そう…だよな。ゴメンな、時間とらして。それじゃ…ありがとう」
俺は彼女に背を向け涙をこらえて逃げるように走った。
階段を踏み外しそうになった。
いつもの帰り道に入ろうとしたとき、雨が降ってきた。
まるで俺のかわりに空が流した涙のように。
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