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俺達は坂を下り、坂を下った所にある成川病院前駅に着いた。
乙葉は手が塞がっている俺の代わりに俺の財布をとって切符を買ってくれた。
「ありがとう乙葉」
「いいえ、どういたしまして」
俺達は切符を改札に入れて電車に駆け込む。
「ギリギリだったな」
「はい…久し振りに電車に乗りました」
電車の中は田舎なせいか誰も乗っていなかった。
乙葉は窓の外を眺めている。
髪がなびき、目を瞑るその姿はとても絵になっていて、俺は乙葉に見とれていた。
「前はいつ電車に乗ったの?」
「七歳の時です。病院が変わる時に看護婦さんと一緒に乗りました」
「そうなんだ」
「久し振りに電車に乗っただけでこんなにはしゃいでるのに、街に行ったらどうなるんでしょう」
「みんなに注目されて笑われる」
「も、もう颯人さんのいじわる//////」
俺と乙葉は顔を見合わせて笑った。
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