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裏路地に入り込んだライは、シエルを捕まえている男の肩を掴む。
「あん?」
「姉さんに、触るなっ!」
振り返った目つきの悪い男は、突然降りかかってきた拳に鼻っ柱を折られ一発でノックアウトされた。
荒い息をつきながら、ライは倒れた男が気絶したのを確かめる。
ここら辺はさすが、ひょろひょろの新米とはいえ騎士というだけのことはあった。
「姉さん、大丈夫だった?」
一息ついてから座り込んでいるシエルの身を案じたライだったが、シエルはハッとしてライの顔を見上げると必死の形相で口を開いた。
「馬鹿っ、後ろっ!!」
「へ?」
間抜けな声をあげた次の瞬間、ライは後頭部にビリビリと痺れるような重い痛みと衝撃を感じる。
踏みとどまろうとしたが、ぐらりと揺れる世界の中ではそれは叶わぬことだった。
ライの意識は体が地面に叩きつけられると共に、闇の中に吸い込まれるように沈んでいった。
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