1.涙

16/20
前へ
/540ページ
次へ
「ああ……あ……あ……」 シエルの口から、声にならない嗚咽が漏れる。 もう3発鉄の塊を埋め込まれたライは、完全に動かなくなっていた。 「おい処理はお前がしろよ。ここに置いてかれると臭ぇんだよ」 先に撃った男が言った。 ライにとどめを刺した男はしかたねえなと悪態をつくと、ライの足を掴みずるずると引きずっていく。 床にくっきりとついた血の筋を見て、シエルは吐き気を催した。 「おいおい……。勘弁してくれ。マスクが必要になっちまう」 フロアに残った男はため息をつくと、俯いているシエルから目をそらした。
/540ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2679人が本棚に入れています
本棚に追加