1.涙

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――生命の維持、確認―― ライは引きずられたまま、無理矢理階段を降ろされていた。 ――身体の損傷、大―― 一段一段降りる度に頭が段差にぶつけられていたが、痛みは何も感じない。 それは、体に空いた4つの銃創も含めて。 ――このままでは、生体活動に支障を来すと思われる―― ゾクゾクと高まる感覚。 研ぎ澄まされていく神経に、ライはこれ以上体の疼きを抑えることは不可能だった。 ――カースコードを発動する―― すっとライは腕を伸ばすと、自分を引きずり続けている男の足をぐっと掴む。 「ん?」 男が気付いた時には、バキバキと音をたてて足首が握り潰されていた。 「ぎゃ――」 たまらず男は絶叫をあげようとしたが、それすらも今はままならない。 何故なら、喉元には深々と鋭利な爪が突き立てられていたからだ。 「あ……」 男が最後に見たもの―― 闇の中で赤黒く光る獰猛な瞳。 大きく隆起した筋肉を包む、黒い乾いた硬質の皮膚。 いびつな体から生えた両翼に、醜く不格好な顔。 一言で形容するなら、まさに悪魔といったところか。 ――その異形のものは、紛れもなく現在のライの姿だった。
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