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ああ、やってしまったんだなと、少年は茫然としながら血に染まった自分の両手を見ていた。
姿勢を少しずらした先には、血だまりの中にうつ伏せに倒れた姉の姿がある。
誰がやったことなのかは、この状況を見れば明白だった。
「俺は……、何を……」
愕然としたまま、少年はその場に膝をつく。
ポロポロと零れた雫が、赤黒く汚れた頬を洗い流すのを感じた。
その様子を見た周囲を取り囲む累々たる肉塊は、少年を嘲る低く高い獣めいた声をあげる。
むせかえるような血の臭いの中で、少年は喉の奥が千切れそうな程の絶叫をした。
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