2.嘘

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ライの意識は、深い波の底に漂っていた。 「随分と派手にやったじゃない」 頭の中で抑揚のない声が響く。 若い女性の声だが、ライはこの声の主に会ったことがない。 彼女――コードネーム『ゼロゼロイチ』は夢を通して接触を図る、リヴォルノの通信役だった。 「……今日は、何の用だ?」 ライは冷たく言葉を返す。 夢の中で接触をもたれるのは、どうも無防備な状態を晒している気がして好きではなかったのだ。 「『ゼロゼロニ』からの伝令。街のデータバンクに侵入して、データの改ざんに成功。あなたはシエルと別れた後真っ直ぐ家に帰った。そう監視カメラには記録されているわ」 「……了解」 ライは端的に言葉を返すと、夢から醒めようとする。 「あと、それから」 徐々に意識が鮮明となっていく中で、ゼロゼロイチは言葉を付け加えた。 「そろそろ本格的に活動してもらうことになりそうだ。これは国からの伝言」 「……了解」 機械的な伝令を受け取ったライは、目覚めの悪い朝を迎えようとしていた。
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