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気がつけば、カラスが鳴き始める夕暮れ時になっていた。
「お・そ・い」
シエルは苛立ちを隠しきれずに、頬を膨らませて愚痴を洩らした。
まあまあと、ライはなんとかシエルを宥めようとする。
「父さんだって忙しいんだよ。なにせ小隊長だし、僕も普段から働いてる様子見てるけどすっごい忙しそうなんだよ」
シエルは人差し指を突き立てながら語るライをちらりと一瞥すると、暑苦しそうにすぐに目をそらして涼を取るために服の胸元をぱたぱたと扇ぎだした。
「あんたは本当お父さんっ子ね。何かにつけて父さんの擁護ばっかりするんだから」
「姉さんブラ見えてる」
「何いぃぃ!?」
突然の指摘だったがシエルはすぐにライの頭を捕まえ、両拳でぐりぐりする。
「人の話聞かないでどこ見てんのよ!このエロガッパ!」
「ね、姉さんだって平気で人がパンツ一丁で寝てる時に部屋に入るくせに!」
「それとこれとは話が別よ!」
そうして2人がじゃれあっている時だった。
「……何をしているんだお前達は」
呆れたように言ったのは、ようやく到着した父、グランツだった。
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