初訪問

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公園から5分程歩くと、前方にキレイめなマンションが見えてきた。 おっきぃマンションだなぁ… いつかこんなトコで一人暮ししたいなぁ♪ なんて考えて歩いていると、愁がそのマンションの前で立ち止まった。 それに気付かず歩き続ける香織。 「何処まで行くの?」 愁が2、3㍍先を歩いている香織に声をかける。 「え??」 香織は立ち止まり後ろを振り向く。 「俺んち。ココだよ?」 愁が指を指したのは、先程のマンション。 「……ぇぇぇええええ!!??」 驚きが声にでてしまった。 「置いてくよ?」 そう言うと、愁はスタスタとマンションの中へと入って行く。 慌てて香織も後を追う。 そのままの勢いでエレベーターに乗り込んだ。 チーン…という音と共にエレベーターのドアが閉まる。 「こんな所に住んでたんだねぇ」 香織がポヘーと気の抜けた顔をしながら口を開く。 「凄いねぇ~。何階まであるんだろぉ」 「いつかこんなトコ住みたいなぁ」 等と独り言を言っていると、愁が口を開いた。 「煩い。黙れ」 その言葉と同時に、香織は腰を引き寄せられる。 「!!!???」 香織は驚いて、顔を赤らめながら口をパクパクさせる。 頭は完全にパニック状態だ。   それを見て、愁が 「金魚みたいだな」 と笑った。 「なっ…!?」 香織が反論しようとすると、言葉を付け足される。 「次、騒いだらキスして黙らせるよ?」 その台詞を聞いて香織はそのまま硬直した。 一瞬の沈黙の後、エレベーターが目的の階に到着した事を知らせる音がして、ドアが開く。 香織は足取り重く、エレベーターを後にした。 あたし…無事に帰れるよ…ね? 香織の心の問い掛けは、ドアが閉まる事を告げるエレベーターのお知らせ音と共に消えた。
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