最悪な出会い

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「香織どこ行くの~?」 昼休みのチャイムと共に、香織が席を立つ。 「購買と自販機~☆」 鞄からサッと財布をだすと今にも走りだしそうな香織に、親友の志帆が香織を呼び止め、小銭を渡す。 「?」 不思議な顔をして志帆の顔と手の平の小銭を見比べ、時計の針を見て走りだした。 「カフェオレねぇ~♪」 聞きながら走って行く香織に注文を告げる。 2階の教室から、一階のホールにある自販機までダッシュで走る。 「もぅ…購買混んでるじゃん」 呟くと、「どいて~っ!!」と叫びながら、階段の踊り場から手摺りを使って飛び降りた。 何人かの生徒が、香織が飛び降りてくるであろう場所を空ける。 ドサッ… 広いホールに響く音。 「幸田ぁ~…相変わらず元気だな」 先にいた同じクラスの男子が香織に話しかける。 「あはは♪だって焼きそばロール無くなっちゃう☆」 頭を掻きながら言う香織。 「そうか。それより早く退いてやれ?」 「…ぇ??」 可哀相な男子生徒が、香織の下敷きになっている。 「ぅわぁぁぁ!!!」 香織が叫んで飛びのいた。 恐る恐る体制を起こす男子生徒に近寄る。 「あの」 「おい」 香織の言葉を遮って、男子生徒が香織の腕を掴んで言った。 「叫ぶ前に言う事があるんじゃないかな?」 下を向いているため男子生徒の表示は解らない。   「え?」 自体が飲み込めていない香織。 「謝るのが先じゃないのかと言ってるんだよ?」 顔を上げた男子生徒の限りない笑顔を見た他の生徒たちが、その場に凍り付いた。 「篠崎愁だぞ…」 「幸田が篠崎に飛び降りた」 口々に言う。 愁が香織の腕を掴んだままを立ち上がる。 「ちょっとおいで?」 愁は笑顔で香織の腕を引っ張って、半ば強制的に連行して行った。
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