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「……ここからどうすればいいんだ?」 屋敷にきたことなんて今日が初めてだ。 いや、来たことあるほうが珍しい。 「えっと……。これを打ち付けるんだっけ?」 狼のレリーフがついている扉の取っ手を打ち付けようとする。 映画とかではよく、ノックをするように打ち付けているから……という安直な発想からだった。 「う……なんか緊張する」 ゆっくりと……手を伸ばす。 他人からみたら焦れったい光景だろうなという変な考えをしながら伸ばす。 そして、レリーフに手が触れた。 狼のレリーフの目が一瞬赤く光った。 「ん?」 気になって、腰をかがめ、レリーフを直視する。 「ナンノヨウデスカ?」 「ぎゃっ!」 レリーフがいきなり喋りだした。 そして驚きの余りに変な悲鳴をあげてしまった。 「ナンノヨウデスカ?」 もう一度きいてきた。 「えっ……その……あの」 「何の騒ぎだ」 いきなり扉が開いた。 「なんだ……お前か。入るなら早く入れ。……なんだまたあの門壊れたのか」 「また……?」 「あの門壊れやすいらしくてな。よく閉まらなくなるんだ」 ……良かった。 よく壊れるのか。
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