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数秒後に気付いた。 「あいつ……逃げたな」 試しにやってみようか。 不発で終了。 恥ずかしい思いをするだけ。 そう分かっていても好奇心に掻き立てられる。 魔法なんてゲームや漫画だけのもの。 それがいま、ここには在る。 やりたくなるのが当然だと思う。 「えーと、確か……」 右手を前にだす。 そして意識を右手に集中させる。 足下から風が吹き荒れる。服がはためく。 『我が呼び掛けに応えよ。荒れ狂う焔よ。火球となりてここに集いて全てを焼き焦がせ……ファイアボルト!』 徐々に炎が集まり火球となる。 そして……家に手を向けていたせいで家に向かって飛んでいった。 「……あ」 けたたましい音をたて、窓ガラスを壊し、中に入っていった。 凄まじい爆発音と共に地面が揺れる。 そして罵声と悲鳴。 窓ガラスからは黒煙があがっている。 ものが焼ける臭いがあたりに充満した。 「……想像を絶することになってしまった」 周りで懸命に消火活動をしているなか、屋敷が音をたてて燃えていく様をただ見るしか出来なかった。
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