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「本当にすみませんでした!」
屋敷は結局全焼し、村の中の宿屋にやってきていた。宿屋と言えども、小さく簡素なつくりのもの。
部屋も三つほどしかない。その部屋の一つで俺は土下座をして謝罪していた。
「まさか本当に出来るとは夢にも思わなくて……。その……」
さっきからこの台詞の繰り返し。
かれこれ30分は謝り続けている。
狼男は頬杖をついたまま、そっぽを向いて黙りこくっている。
それがまた怖い。
「…………なんで魔法が使えた?」
「……は?」
いきなり質問されて拍子抜けだった。
「普通は人間には行使出来ないと言われているんですよ」
いきなり女性の声がきこえてきた。
大人しそうな透き通った声だった。
「だから、何故、人間のお前が行使出来たのかときいているんだ」
なるほど……。
魔法は人間には出来ないものなのか。
「知らないよ。気付いたらここにいて気付いたらつかえてたんだから」
「ふん」
鼻で笑われた。
かなり見下す目で見られた。
「なんだよ! 分からないものは分からないんだから仕方がないだろ!」
「…………それが苛つくんだよ」
それだけ言うと狼男は部屋から出ていった。
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