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「とりあえず……状況を頭を整理しながら確認しようか。今の姿は……チェックの灰色の学生ズボンに赤いネクタイに紺色のブレザーか。あとは、下にカッターシャツと黒のシャツだな。うん」
……誰に説明してるんだろう。
「で……覚えてることは学校名と名前とか大切なことか」
……全然ダメだな。
「……友人の名前も思い出せない」
……助けも求められない。
「そうだ、携帯は……」
画面に
【充電してください】
の文字。
たったいま切れたらしい。
「……見事なまでに絶望的な状況だな。まるで何かのアニメの主人公になった気分だ」
ここまで哀しいことは初めてな気がする。
そこで青と緑の世界に黒い線がみえた。さっきまではなかったものだ。
「あれは……煙か?」
遠くに黒い煙が見える。
青と緑の世界には目立ちすぎる。
「人がいるんだ……。助かった……」
とにかく、煙がたつということは人がいるということだ。
自然と煙がたつなんて考えにくい。
「いよっしゃ! 待っててくれよ……。煙をたてた人!」
全速力で煙のたっているところへ駆け出した。
また、頬が自然とゆるんだ気がした。
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