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黒い煙を目指して走り、かれこれ30分たった。
「遠い……。あまりにも遠すぎる……」
後ろは今まで走った道が一筋の道になっている。
前は延々と緑と青と黒があるだけだ。
「つ……疲れ……た。もう走れ……ない」
体力の限界がきた。
身体中至るところに汗が浮き出ている。
「ちょっ……休憩」
草むらの上に倒れこむ。
首筋が少しチクチクした。背中は汗でベタつき、気持ち悪いことこの上ない。
「なんで遠いんだよ……。でも……さっきよりは近くなってるよな」
首を無理矢理回して、煙をみる。
先程まで居たところから見たときよりは少しだけだが大きく、そしてハッキリと見えている。
「あと……何日かかるんだよ。全く」
自然とため息がでてくる。そろそろ汗もひいてきた。
「さて、そろそろ行くかな。はやく何か食べたいし」
自分で自分の言葉に苦笑する。
この草原にくる前は何も食べていなかったのか、疲れより、空腹感が勝っていた。
「あと……煙が元々小さい煙だったっていう可能性にかけるか」
また、煙に向かって走り出した。
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