467人が本棚に入れています
本棚に追加
8月9日はとても暑い日だった。私は通夜の前に散髪に行った。実は床屋に行くのは5ヶ月ぶりだ。父が入院した5月下旬から、髪を切らずにいることが自分の中での一つの願掛けだったのだ。特に7月中旬に余命宣告を受けてからは、父が生きている間は切らずにいよう、切ったら何となく終わってしまう、そんな奇妙な感覚があったからだ。
散髪し頭がスッキリした。すると不思議なもので気持ちも引き締まった。そして私は決意する。涙は見せずに父を送り出そうと。
納棺時、出棺時、火葬時、いずれも号泣する母や親族を目にしながら危ない場面もあったが、ぐっとこらえ、遺族代表の挨拶もこなし、滞りなく葬儀は終了した。
そして帰宅後。父の遺骨の前で私は…思いっきり泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!