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翌年1月に手術をすることになった。病名は「胆菅癌」であった。胆菅だけでなく、十二指腸も切除する大手術とのこと。病名を告げられた時は、さすがに驚いた。しかし、父には「十二指腸潰瘍」と伝え、癌であることは伏せておいた。父は臆病な性格であったためである。
そんな父の手術の1週間前、訃報が届いた。父の母親、私の祖母が他界したのだ。父にとって実の母親の死。しかし入院中の身で手術前である父は、死に目に会えないどころか、葬儀にも行けないのである。伝えても精神的ショックを受けた状態では手術の成功もままならない。そこで、父には祖母の死を伏せておくことにした。とても辛い決断だった。
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