第二章 中学2年

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部活が終わり、春菜は門に寄りかかって待っていた。 敦也「待った?」 春菜「ん~ん♪」 敦也「今日さ、運動公園で寄り道して行かない?」 春菜「賛成♪先生に見付からないようにしなきゃね♪」 運動公園に着くと、先生が懐中電灯を手に持ち、見回りしていた。 今日は終業式ということもあり、見回りなんてしているのだろう。 敦也「やば!懐中電灯持ってるよ!あそこに隠れよ!」 ぞうさんの形をした滑り台の中に2人で入った。 しばらく隠れていると、懐中電灯の光は見えなくなった。 春菜「行ったみたいだね…。」 春菜が敦也の方へ視線を戻すと、敦也は春菜を見つめていた。 真剣な顔だった。 春菜「どうかした…?」 敦也「手貸して…。」 春菜は無言で両手を差し出した。 敦也は春菜の両手を握らせて、握らせた両手の上から敦也の両手をかぶせた。 春菜はドキドキしていた。 敦也もきっとドキドキしていた。 春菜は『好き』という言葉を必要としてたことなんて忘れていた。 敦也の気持ちが十分春菜に届いていた。 春菜と敦也は何も言葉を交わすことなく、ただ手を握り合っていた。 春菜はずっと手元に視線を送っていた。 「春菜…。」 敦也に『春菜』と呼ばれたのは初めてだった。 名前を呼ばれてから、ゆっくり敦也の顔に視線を送った。 「目、つむって…。」 春菜はゆっくり目を閉じた。 敦也の体が近付いてくるのがわかった。 敦也の顔が春菜の顔に近付いてくるのがわかった。 敦也の手がそっと春菜のおでこに触れた。 敦也は春菜の前髪を少しかきあげた。 そして春菜のおでこにそっとキスをした。 それからどのくらい時間が経ったのかは分からない。 「送るよ。」という敦也の言葉で、春菜は現実に戻された。 敦也に手を引かれて、家路を歩いた。 毎日一緒に帰っていた2人だったが、手を繋いで帰るのは今日が初めてだった。
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