陽と優

4/12
前へ
/433ページ
次へ
「妹ぉ?」 陽が機嫌悪そうな声を出すことに、家主が疑問を持つ。そして、優はその原因を理解出来るように説明する。 「あ、姉は私じゃなくて、この陽です。でも、気にしないで下さい。そう思っても仕方ありませんから」 「ちょっと!どういう意味!?」 文句を言う姉を完全無視。 妹は社交辞令を行い、報酬を戴くと、未だに不満を言う姉を引っ提げて神社へと帰っていった。 次の日の朝…… 「全く失礼な家主だったわね!」 朝ごはんを黙々と作っている優の周りを、陽がちょこちょこと移動しながら言った。 「何言ってんの。陽が先につまみ食いなんていう、はしたないことをしたんでしょうが」 姉のぼやきに慣れているのか、妹はそっけない態度を取る。 「そりゃそうだけどさ……。何回目だと思う?姉なのに妹だって言われたの!」 「だったら、姉っぽく振る舞えばいいじゃない」 「あんたねー……それが出来たら苦労しないわよ。良いよね、優は」 「私も完璧じゃないんだけど」 「ん?優、なんか言った?」 「別に」 そうこうしているうちに、朝ごはんが出来上がり、優が盛り付けていく。 「わっ、美味しそっ!」 「食いしん坊。だから、いつも依頼人の食べ物を勝手に食べるんでしょ。それを何とかしなさいよね!……いただきます」
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

655人が本棚に入れています
本棚に追加