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「妹ぉ?」
陽が機嫌悪そうな声を出すことに、家主が疑問を持つ。そして、優はその原因を理解出来るように説明する。
「あ、姉は私じゃなくて、この陽です。でも、気にしないで下さい。そう思っても仕方ありませんから」
「ちょっと!どういう意味!?」
文句を言う姉を完全無視。
妹は社交辞令を行い、報酬を戴くと、未だに不満を言う姉を引っ提げて神社へと帰っていった。
次の日の朝……
「全く失礼な家主だったわね!」
朝ごはんを黙々と作っている優の周りを、陽がちょこちょこと移動しながら言った。
「何言ってんの。陽が先につまみ食いなんていう、はしたないことをしたんでしょうが」
姉のぼやきに慣れているのか、妹はそっけない態度を取る。
「そりゃそうだけどさ……。何回目だと思う?姉なのに妹だって言われたの!」
「だったら、姉っぽく振る舞えばいいじゃない」
「あんたねー……それが出来たら苦労しないわよ。良いよね、優は」
「私も完璧じゃないんだけど」
「ん?優、なんか言った?」
「別に」
そうこうしているうちに、朝ごはんが出来上がり、優が盛り付けていく。
「わっ、美味しそっ!」
「食いしん坊。だから、いつも依頼人の食べ物を勝手に食べるんでしょ。それを何とかしなさいよね!……いただきます」
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