新米戦闘機パイロットの受難

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急いで着替えてコクピットに乗り込む。整備員にエンジンを回すよう指示を出した。 爆音と排気ガスの匂いと共にエンジンが回った。零戦に乗るのは初めてだった。 中尉が無線で「先に行け」と告げる。一番機は俺、二番機はハル、三番機は佐藤だ。 ゆっくり左手でスロットルを開く、エンジンが上がり、ゆっくりと滑走路まで進んで行く。 管制塔から「新人へ、離陸を許可する!頑張れよ」とふざけた調子で伝えてきた。 スロットルを全開にする。スルスルと景色が動き始めすぐに機体は浮いた。 零戦は意外に滑走距離が短いと思った。列機も続く。高度三千m。青空が広がっていた。 無線に佐藤から「佐藤から秋月へ!練習機よりも良いな!これ」と言ってきた。 「おいおい、練習機と比べてる暇があったら敵機を探せ」と一喝した。 「了~解」と返事がきた。中尉はいつ来るか分からない。 それだけに気が抜けない。 するといきなり、「おい、お前らいつになったら気づくんだ!?」と少し笑いながら無線が聞こえた。
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