『WHITE with RAINBOW』

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その日、朝から雨で 激しく大きな雨粒が窓を叩きつけ 視界はどんどん洗い流される 僕は憂鬱にそれを見つめていた こんな雨の日に 僕は君が消えた事を知った 何でもない日常 僕が無意味に過ごしてしまった日々の中の ある日 君は唐突に消えた 君はいつだって太陽を見ていて 大きな瞳を細めていたね 真っ白な君は太陽の光を乱反射させて 僕のすぐ隣で輝いていた 雨が止んで 僕は光の梯子がおりそうな空を見て 太陽に背を向けて 歩き出した 「太陽に背を向けるなよ」 分かっているよ だけど 太陽に背を向けないと 光が見つからないんだ ほら、見つけた光は 蒼穹に曲線を描き 泣きたくなる程に 穏やかじゃないか 忘れてなんかいなかった 離れても会いに行っただろう? 離れても会いに来てくれただろう? 会う度に大きな手で僕を掴まえて 嬉しそうにしていた君に さようならを告げられなかった事が とても残念だよ この空と虹と光の中 君はいつまでも そこにいる事にしたんだね また空を見上げたら 真っ直ぐに太陽を見ていた君を 思い出せるかな
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