『天秤』

2/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
窓辺には光が沢山降り注ぎ、キラキラしています 時間は静かに ゆうるりと流れて その場所で 君は運命を紡いでは崩していました 沢山の運命を紡いでは崩していく きっと僕の運命もその中に紛れていますね それぞれが全て両極で それぞれが全て同じなその中から 空白である僕を紡ぎ出す 空気は震えて 僕は黙る 君が沢山の運命の中から紡ぎ出した 僕の心の奥 運命なんて信じない僕だけど 君が紡いでくれた運命だけは信じましょう 震える空気を 僕が静かに飲み込んでいく 君の心は 運命により傾いていく 天秤は静かに傾いていきます 揺れ動く人影も 今は全て陽炎の中へ 君が紡いでくれた 長い長い運命を信じて 僕は君と言葉を交わす 君の天秤は傾いていくのに 僕はそれを知らないまま 窓辺にはもう光はありません 時間は既に流れてしまって その場所で君は 自分の運命を崩していました 傾いた天秤は もう元に戻ってしまいました 淡い想い届かず 役目を終えた天秤は 君の中で暫しの眠りにつくのです
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!