はじまり

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ルーシーが風呂入ってると暇だな…… パリーン!!!! 「わっ!!!!!!」 窓が割れた? 石? 俺は窓の外に顔を出した。 刹那、首に何かが巻き付き窓から引きずり降ろされた。 「でっ!!!!」 「ほぅ……この高さから引きずり降ろされて死なんとは……さすがヴァンパイア。」 電柱の上に誰か居る。声からして男のようだ。 「深夜とはいえ……あまり大きな音はマズイ……移動するか……」 男は裏山へ向かって跳躍した。 もちろん俺を引きずりながら。 「ぐあぁあ!!!」 首がちぎれそうだ。 「ここなら問題無いな……」 裏山の山道に出た。 「お……お前は誰だ……」 ワイヤーか何かで強引に引きずられ、首を絞められたので口の中に血の味がする。 普通は首がもげるが、体が丈夫な間一族でよかった…… 「名前などどうでもいいだろ。ヴァンパイアハンターだとだけ言っておこうか。」 「そうか。とにかく俺は人間だから早く帰してくれ。」 「人間だと?」 「そうだ。」 「ほぅ?ならなぜ死ななかった?」 「俺は特殊だ。」 「確かに特殊だな……」 「……え?」 何が起きたのだろうか。 心臓に大剣が刺さっている。 「普通なら立っていられない筈だが。本当に特殊だな。」 男は顔に微笑を浮かべている。 やばい。 流石にダメージが大き過ぎる。回復出来ない。血を摂取しなければ。 俺はポケットを探る。しかし、携帯用の血が無い。 そうか…そういえばさっきまで俺は家に居たんだな…血は冷蔵庫の中か… 「どうした?反撃してこないのか?」 「……なぜ俺を殺そうとする……」 「暇潰しだ。ヴァンパイアでなくとも、化け物を殺してはいけないという法律は無いぞ?」 その男は喋りながら、立ったまま動けない俺に近付いてきた。 そして俺の胸に刺さっている大剣の柄に手をかけた。 「じゃ、死ぬか。」 「ぐあぁああああ!!!!」 何かが心臓から脇腹に抜けた。 気が遠くなる。
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