序章

5/7
前へ
/93ページ
次へ
     街灯1つない暗い公園。  周りを照らす灯りは雲がかかって朧気な月光のみ。  黒と白のコントラストが幻想的な空間を描き出している。だが、人にとって幻想的なのかは違ってくる。特にアイツとヤツではまた違う。この公園の意味が。  ゆっくりと進んでいた雲が月から離れた。離れたことにより、空に浮かぶ月の光量が増した。  今宵は見事な満月だ。  その満月を背負うように誰かがジャングルジムの上に腰掛けていた。  体つきからして男。しかも鍛え上げられ、引き締まった肉体だ。  囁く風に髪を乱されながら、男はふと笑う。  まるで、嘲笑のように。     、、、、、 「よう、遅かったな」  誰もいないはずの薄暗い空間に向かって男が口を開いた。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加