予感

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予感

繊細な心に、厳しい現実を いきなり突付けるのは、 神も酷と想うのだろうか?。 だとしたら、これは慈悲という ものなのだろう。   「もしかしたら、近いうちに、家族が集まる事があるかもしれない。」 「ふぅん?。その根拠は?」 「非現実的だけど、夢みたんだ。家族と親戚が黒い服で、集まっていた。あと、親戚の●●さんを急に思い出すんだ。」 「…本当、非現実的ね。大丈夫よ。夢でしょう?(笑)」   その話を忘れていた三ヵ月後 、●●さんの葬儀があった。 あのひとはかなり 落ち込んでいたが、 なんとなく 覚悟ができていた様だった。 何度か同じ事があり、 あのひとの予感があたる事を、 あたしもまのあたりにしたの だが、それをあたしも 感じる事になるとは 思わなかった。 ある夜、あたしは金縛りにあった。 落着いて金縛りを 解こうとする。 …懐かしい感触がする。 子供の頃から 可愛がってくれた Sさんの感触だった。 頭を撫で、いつもしてくれる、 お別れのハグ。 Sさんの思い出が蘇る。   こんな風に、あのひとにも、 ●●さんはお別れに 来たんだ…。あのひとが ゆっくり理解できる様に… 早めに。  すこしだけ、あたしも 科学では解明できない ものの可能性を思った。
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