題1章 彼方がいない…彼方がいる

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「いや、なんもねぇよ。」 やっと笑いがおさまればそう言った。 『ンだよ。つかもう仕事だから…わりぃな。』 赤西が本当に申し訳なさそうに言った。 「俺も仕事だし。電話なんかして悪かったな。」 『出れるときぐれぇ出るから…』 これが赤西にとっての精一杯の愛情なんだろう。 許してやるしかないな…。 「早く6人で仕事してぇな。じゃあなっ!」 いつまでも切れそうにないからこっちからあっさり切ってやった。 「亀梨っ!」 瞬間仕掛人の亀梨を睨む。 「んだ?よかったじゃねぇかよ…。何日も我慢したんだからさ…もう我慢すんなよ?」 亀梨は柄にもなくそう言葉をかけて俺の頭をぐりぐり撫でた。 そんでもさ…心の準備とかあるっつぅに…。 「コーキ!早く行くぞ?」 なんて勝手なやつなんだ…。 こんな横暴なヤツだったか? 「ハイハイ。」 心の中で文句言いながらも感謝してるところもあって…。 今度はケータイをポケットに入れてスタジオに入った。
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