―絶望―

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「あ~たしラララララ~♪♪もう一回!」 真希の美声が響く。 真希は物凄く歌がうまい。将来は歌手になりたい んだって。 「次!あたしね!」 亞理香が立ち上がる。 ハッキリ言って亞理香の歌は…上手いとは言えない…。 「♪ぼっくらはい~つもぉいしんでんしぃ♪」 みんなが苦笑い。 「じ…じゃあ次あたし…で…」 歌いやすいような… ♪… 歌が流れ出した頃、 「ゲホッうっ…カハッ」 その場に倒れ込む。 「リコ!?」 手のひらが生暖かい… 見ると 「血……」 血を吐いていたのだ。 「…ッ!」 ガバッ 「…直…くん…?」 頭がフラフラしてきた。リコは直にお姫様だっこされている。 「家連れてく!亞理香!カバン!」 「…うん!」 みんなが部屋から飛び出す。 タクシ-を拾うとみんなで乗り込んだ。 「~まで!急いでください!病気なんです!」 隆二が叫ぶ。 「スピードMAXだ!」 運転手さんは若い人でこう叫ぶとギュルギュルとハンドルを回して方向転換した。 家に着くと、真希が財布を取り出す。 でも運転手さんはいいよと言って、タダにしてくれた。 「おばさん!リコが!」 ドアを真希と亞理香が叩く。 すると 「どうしたの!?…リコ!?血が!」 「救急車!おばさん!」すでにぐったりとしたリコは意識がない。 「リコ!いやだぁ!」 真希が壊れたようにその場に座り込んだ。 間もなく救急車が到着する。 3人は何の迷いもなく、救急車に乗り込んだ。 「おばさん!早く!」 泣きながら救急車に乗る。 そのままリコは病院へ運ばれた。
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