―絶望―

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私は気付くと寝ていたみたいで布団が掛けられていた。 「…点滴…」 腕には点滴がしてあり、ガ-ゼとテ-プが貼ってあった。 ガ-ゼにはウサギが描いてあり、『早く良くなってね』なんてふざけたことが描いてある。 「良くなるなんてあり得ないのに。」 私は近くにあったペンでふざけた絵を塗りつぶした。 するとお母さんが入ってきて雑誌の入っている袋をベッドに置いて真剣な顔でこう言った。 「…よく聞いて?これから…抗ガン剤治療をするの。すご-く辛いの。リコが耐えられないかもしれない。でもね?治るかもしれないの。それでもやる?」 …治る? また5人で一緒にカラオケ行けるかも またガッコに行けるかも また一緒に… 「…るよ…」 「え?」 「あたし治療するよ!」 お母さんは辛いのよ?とか、痛いのよ?とか聞いてきたけど私は絶対に止めるなんて言わなかった。 それからリコは看護師さんに新しいうさぎの絵が描いてあるガ-ゼを貼ってもらった。
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