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「リョウコ~、昨夜こんなの回ってきたの~」
「なになに?
うっわ、ミク、それチェンメじゃん」
「やっぱそうだよね~。
回した方が良いのかなぁ?」
「ん~…、どっちでもいいんじゃない?」
「なら、回さなくていいや。
どうせガセだろうし」
「そうしな~。パケもったいないしさ」
「だよね~」
たわい無いクラスメートの別グループの会話。
そういや今は夏か、等と考える。
携帯サイトには画像付きでそんなメールがよく張り付けられている。
別に珍しくもない。
だが、今更またチェーンメールを流すなんて、余程の暇人なんだなと考える。
「カレン~、聞いてる?」
自分の前の席を自分の席のごとく陣取っている友達が不機嫌そうに言う。
「ごめんイク、聞いてなかったや」
「もぉ~、カレン~」
「ははっ、ごめんってば」
笑いながら謝る。
目の前にいる友達イクは、最近恋が実り、青春街道まっしぐらな女の子。
私とはキャラからして全然違う。
正直な所、正反対だ。
「……ねぇ、カレン」
「…ん?」
イクが小声で耳打ちする。
「あっち、チェンメ来たみたいだね」
「みたいだね」
「私の友達も来たみたいなんだよね。
“殺しに行きます”的な内容が」
「で、それどうなったの?」
「回したって」
「ふ~ん…」
止めて実証すればいいのに。
「カレンは回ってきたらどうする?」
「あたし?
あたしは今までの全部止めてるからまた止めるね、きっと」
「ぇ…、そんなに?」
「うん」
「どれくらいよ」
「さぁ?数えてないや。
『さっちゃん』も『足狩り』も『ゾンビ』も『メリーさん』も『カウントダウン』も止めたし…
ざっと10くらいかな?」
「…カレン10回は死んでるわけだ」
呆れたように溜め息を吐くイク。
それは少々失礼じゃないかな。
まぁいいけど。
にしても、新しいタイプのチェンメみたいだ。
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