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カチカチ
「“一通完了。残り二通”…?」
音読して眉間にしわをより一層深くしてすかさず指を動かす。
「これならアド変するまえにカラメがいくはずよ」
ふんっと鼻を鳴らししてやったり的な笑みを浮かべる。
が。
~~♪
~♪~~♪
メールの着信音。
帰ろうとしていた私もイクも教室の出入り口で足を止め、ミクの方を見る。
ミクは携帯を慣れた手付きでいじる。
しかし、だんだん表情が曇っていく。
「即返したのに、サーバーが無いって…、届かないって何よ」
「…ちょっ、ヤバいかもよ?」
「ぃ、悪戯よ、どうせ。
誰かがドメインかけてやってるだけよ」
「でも、気味悪いじゃん…。
回した方が良いって」
「大丈夫よ、ガセだろうし。
ほら、リョウコ。
今からカラオケに合流するんでしょう、早く行かなきゃ」
「ぅ、うん…」
急かされるようにしてミクとリョウコが教室を出る。
「んぢゃ、ばいば~い。
また明日ね~」
不特定に挨拶をするミク。
私はそれにまたね、と言って手を降る。
「カレン、あたしらも帰ろ」
「うん、そうだね。
ぁ、帰り雑貨見ていい?」
「いいよ~。
私も見たいしねぇ」
「んじゃ、帰りますか」
「うん」
嬉しそうに頷いたイクを見ながら教室を出る。
もちろん出るときには中に残っている人たちに声をかけた。
いつもやる帰りの儀式みたいなもの。
教室に残っている人に声をかける。
これでこの小さな儀式は終わるのだ。
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