チェーンメール 一章

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数分して着信音。 …以外に返信は速いな。 携帯を開き、メールに目を通す。 『来るの。 何か分からないけど 分からないけど 引きずったような音が 近付いてくるの 誰でもいいから助けて 助けて たすけて 怖い こわいの』 さっきよりか幾分ましだが、そうとう錯乱していると取れる文面。 いくつか引っ掛かるキーワードが有ったが、まずは落ち着かせよう。 『大丈夫だよ。私が今から家に向かうから。 家は2丁目の赤い屋根の側よね?』 送り、ジーパンにタンク、シャツを羽織り、玄関に向かう。 「母さん、ちょっと友達のトコに行ってくる! 鍵はあるから先寝ててもいいから。 じゃ、いってきます!」 慌ただしく出ていく。 手持ちはズボンに取りつける小さなバッグに財布と携帯と自宅の鍵。 それにサバイバルナイフ。 夕方に買ったアクセサリーは付けたまま。 合成皮じゃないから縮むんだろうなとか考えながら手首のアクセサリーを見る。 それよりミクだ。 手に握ったままの携帯が着信音を高らかにならす。 この陽気なメロディが、今はムカつく。 走りながらメールを開く。 『ミスクアパート306号室』 なんて簡潔な。 まぁ、返信してくれただけマシか。 『わかった。もう少しだから待ってて』 送信し、リダイヤルを回してイクにかける。 その時見た時刻は22時43分。 50分までにはミクの家に着くだろう。 耳元から聞こえる呼び出し音。 イクには一応言っておいた方が良いだろう。 早く出てくれ…。
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