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「はいは~い。
どったよカレン」
「イク、ミクが何か変なんだ。
だから様子見てくる。
また連絡するけど、連絡なかったら警察に届けて」
「わ、わかった」
短い会話後に、切る。
45分。
よく見る住宅地の中を走り抜け、赤い屋根の家に近付く。
そこのそばにあるアパートを探し、走る。
サンクスアパート。
加賀荘。
ユクニスアパート。
安達園。
コウクアパート。
つぐみ荘。
ミスクなんて名前のアパートが、中々見当たらない。
確かに方向といてはあっているはずなのだ。
学校から帰る途中に、毎回目にしているのだから。
急に消えてなくなるなんて、そんな非科学的なことが発生するはずが無い。
急に工事でなくなったとか。
火災で全焼とか。
日本の集合住宅ではありえないがダイナマイトで解体したとか。
そんなことが起こらない限りあるはずだ。
この近所のはず、なのだ。
時間の確認をするたびに焦りが募ってくる。
いや、好奇心と言うべきだろうか。
別段仲の良いとは言いがたいクラスメートのために走る自分が、正直おかしくて仕方が無い。
いつもは関心なんて無い私が、走るのは何のためなのか。
そんな哲学的なことを考えるが頭を振り、考えを消す。
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