『 蜘蛛の糸 』

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  ―ああ、これ迄なんとか生き長らえてきたが、とうとう私も御陀仏か…   遂に覚悟を決めた蜘蛛でしたが、 その人間の足は、 蜘蛛の上に降ろされませんでした。   「待て待て。」   蜘蛛に気付いた人間は、 そっと蜘蛛を摘みあげると、 そのまま蜘蛛を巣へと戻してくれたのです。   「小さな蜘蛛とて生きている。  まさに一寸の虫にも五分の魂…  無闇に殺めるのは忍びない…」   そう言って、 走り去ったのです。  
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