旅の誘い

12/13
前へ
/795ページ
次へ
下手に抵抗したら何をされるかわからない。 という事から、俺は完全に諦めた。 「行きます」 「では、車に乗ってください」 車に乗る時気づいたが、この軽自動車は見た目に似合わずフルスモークであり、その事がより一層恐怖を高めた。 後部座席に乗りこみ、扉を閉められると外の景色は何も見えなくなった。 内面にもスモークが張られ、しかも、運転席とは、黒のアクリル板で仕切られていた。 俺は何気に冷静で、場所を知られたくないのだなと思った。 「では、出発します」 その言葉と共に、車は動き出した。 無駄だと思いながらも、常に丁寧な口調を崩さぬ黒服に安心し、黒服にどこに行くか聞いてみたが、案の定…… 「それは、言えない決まりになっております」 と、返ってくるだけだった。
/795ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84386人が本棚に入れています
本棚に追加