旅の誘い

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とりあえず、父が置いてった3日分の食代一万円のうちから、1000円を持ち、自宅近くの行きつけのファーストフード店で夕飯を済ます。帰宅後、テレビを見てたら携帯のデジタル時計にはすでに21:54との表示がある。 例の手紙の事を思い出して、俺は手紙に書いてある電話番号へと急いで電話した。 この時、電話をしなければいつも通りの日常が崩されることはなかったのだろう。 いや……実のところこの手紙が自分の元へ来た時点でもう崩れていたのかもしれない。 一度のみのコール…… まるでかけてきたからには切らせないかの様な俊敏な対応で、電話は繋がった。 「あっ、もし…」 『ゴサンカ…アリガトウゴザイマス』 俺が何かを喋る前に、無機質な合成声でそう伝えられただけで、電話は一方的に切られた。 「ったく、なんなんだよ……あれは」 電話の態度に若干ムカつき、全く想像と違う無機質な対応に僅かながら憤慨したが、それも無駄だとすぐに悟り、今日の所は風呂に入って寝ることにした。
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