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私は、二人と別れて自宅マンションに向かう。
世間一般でいう、高級マンション。広い部屋と、十階建てならではの、眺めの良い景色も…
独りぼっちでは、虚しいだけ。
そう…私は、独りぼっち…
だが!!
もうすぐ…
ほんの少し、口元を緩めて笑う私の横を、幸せそうな親子が通り過ぎた。
母と息子…
もうすぐ…
私も、ああなる。
あの親子のように、子供と手を繋ぎ買い物に出かける。そして、美味しい料理を作って夫の帰りを待つ。
そんな、ごく普通の幸せ。
もうすぐ…
私は、在るべき姿に戻る。
そう思うと、嬉しくて嬉しくて…声を出して笑いたくなる。
「ふひ…ふひひひひひひひ…」
だが、私の思惑を勘付かれてはいけない。
二人には、しっかりと口止めしておいた。
知名度が低い島だから、安く済む…同じサークルのメンバーや、親とか、口コミが広がり易い所には内密に…と、言ってある。
二人を選んだのは、口が堅いからだ。一年間…色々な連中をリサーチした。
あの二人に言った噂話は、まるで広がらなかった。
あと…二人共、親や親戚と疎遠だ。
アイは、母親との喧嘩が原因で一人暮らしを始めた。その為に、夜はキャバクラ等でバイトしていたくらいだから、連絡はとらないだろう…
サヤカも一人暮らしだ。同じく、親とは疎遠…
まぁ、仮に誰かに喋ったとしても…あの島に来てくれさえすれば、文句はない。
私は、鼻歌まじりでマンションへ戻った。
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