鼓動~コドウ~K

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私は、クチナワ島の蛇神伝説を信じて…ある計画をたてた。 それは、死んだ夫と息子を生き返らせる為に… アイとサヤカを、生け贄にする計画。 私が、元島人達から得た情報をまとめると… 八月十三日~八月十七日までの、蛇神祭の期間中。 白蛇神に生け贄を捧げると…死者を蘇らせてくれる。 黒蛇神に生け贄を捧げると…死から救われる。 似た内容だが、今の私には分かる。 おそらく、私のような者は白蛇神に頼り…病人や、死を恐れる者は黒蛇神に頼るのだろう。 願いを叶える為の儀式は、島の湖にある白い岩か、黒い岩に生け贄の血を与える事で成立する。 だが、ここから先がやっかいなのだ。 生け贄を得て、願いを叶えた後は…白と黒のバランスが崩れる。 生け贄を得た蛇神は、捧げられた人間に憑依して暴れ出す。 仮に、夫と息子(もしかしたら、生き返らせる事ができるのは一人だけかもしれないが…)を生き返らせる事ができたとしても…蛇神に殺されてしまうかもしれない… そうならない為にも、生け贄は二人必要なのだ。 願いを叶えた後…すぐに、もう片方の蛇神に生け贄を捧げれば、バランスが保たれる。均衡を保つ為に生け贄を捧げた場合は、封印が再発動するだけらしい…そもそも私は、黒蛇神には何の用もない。 あとは、弟の協力を得て円滑に事を進めなければならない。さすがに、一人でやるのは難しい。 弟には、リョウと名乗らせて一足先に島に行ってもらう。しっかりとリサーチーさせておけば、道に迷う事もない。 民宿でアルバイトをさせ、アイでも、サヤカでも構わないが、どちらか片方と仲良くなれば…四人で祭に行くという流れもつくれる。 弟は、女の心に入り込むのには自信があると言う。 事実…何人の女と付き合ってるのか分からないくらい、女がいる。 まぁ、その辺は失敗しても私が上手くやればいくらでもフォローができる。 あぁ…一ヵ月後が待ち遠しい…
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