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そして…一ヵ月が経った。
島に向かう船を目の前にして、待つ事十分…サヤカがやってきた。
…ん?
サヤカだけ!?
私は、挨拶より先に問い掛けた。
「アイは?」
サヤカは、荷物を地面に置いてから答えた。
「なんか、仕事の都合で一日遅れて合流するってさ。さぁ、行きましょう」
私は、胸を撫で下ろした…
二人いなければ、かなり危険な方法で白蛇神を封印しなければならなくなる。
それは、生け贄を得た蛇神を、特殊な力を宿した木刀を使って倒さなければならないという物…
かなり、ハイリスクな方法だ。しかも、祭の最中に神社に祭られている木刀に手を出すのは、後々面倒を起こす事になりかねない。
しかも…元島人、数人の話によると、二十四年前の事件で木刀は行方不明になった…今、神社に祭られているのは伝説通り、島の山奥にある神木から作った新しい物だという。
様々な理由があって、島から出た者がいるが、私が会った数人は…
「島を出た理由は…新しい木刀から、神秘的な力が感じられなかったから」
と、語っていた。
噂によると、警察やマスコミに騒がれる事を恐れ、島の誰かが隠したとも言われているようだ。
どちらにせよ、あてにならない。
私は、サヤカと共に船に乗る。
ファ…
風が、私の髪を撫でるように吹いた。
刻一刻と、船が島に近づくにつれ…私の鼓動が、かすかに早まっていく…
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