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《八月十三日 蛇神祭》
昨日は、アイと合流して…楽しくなるハズだったが、どうも微妙な空気になった。
アイが、リョウに一目惚れしてしまった。
私は、昨日の夜にリョウを呼び出して…一昨日の夜の事は、なかった事にしようと伝えた。
そうすれば、アイが悲しむ事もない。リョウの事は、まだ良く分からないが…あまりにも、ヒドイ男ではない。
…と、思う。
しかし…これが間違えだったのだろうか…
祭の後、湖を訪れた。
すごく、綺麗だった…月明かりがキラキラと反射している。幻想的な光景だった。
しかし、アイが蛇に噛まれた所から…何かが狂い始めた。
アイは、おそらく…昨日の夜、リョウと私が話していたのを聞いていたのだろう。
取り乱したアイが、湖に近寄って行く。私は、止めようと腕を掴んだが…突き飛ばされて湖に落ちた。
私は、すぐアイを追い掛けた。
カナエさんや、リョウが何か言っていたが…耳には入らなかった。
そして…
アイが、バランスを崩して脇道に消えていくのが見えた。
変わり果てた姿を見て…私は、私は全身の力を失った。
心臓に耳を当てる…何も、聞こえない。
脈は…無い。
あまりにも、あっけない。
そこまで、高い場所から落ちたわけではなかった…木に頭を強打したのだろう。耳から、血を流して白目を剥いて倒れている。
私は、平らな場所までアイを引っ張っていき…目を閉じさせ、手を胸の位置で組ませた。
ただ、呆然とアイを見ていた。
すると、言い争うカナエさんとリョウの声が聞こえてきた…
内容を聞いて、私は耳を疑った…
生け贄、計画、白蛇神…。
よっぽど、動揺していたのだろう。いつも冷静で物静かなカナエさん…いや!カナエが、一気に歳を取ったように顔中をシワクチャにして叫んでいた。
私は、気付かれないように二人の後ろに移動した。
とんでもない奴らだ…
しかし…奴らが言っている事が、本当なら…
アイを、生き返らせる事ができる!!
私達を、生け贄にする?
上等…
生け贄になるのは、お前等だ!!
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