第二十九蹴 ブレイブ

2/10
前へ
/329ページ
次へ
「…………。」   スタンドで見守る寅は、空を見上げ、ゆっくりと視線をおろした。   「いよいよだな…。俺と君どちらが正しいか…見せてもらう。」   フィールドに集まった22人の選手達も、凄まじい気迫を放ちながら、後半の始まりを告げるホイッスルを待っていた。   「いよいよだぜ、寅。俺とお前、どちらが正しいか。今、見せてやるよ。」   信哉は、寅の方を指差しながらつぶやいた。   寅も、信哉に答えるように、うなずいた。   全てが決まろうとしていた。   信哉の今後も…二人の約束も…   確かに歯車は回りはじめた。   ゆっくりと、確実に。
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!

531人が本棚に入れています
本棚に追加