第二十九蹴 ブレイブ

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「へへっ…なんだろな。」  和孝は、大会前のことを思い出していた。   意気がっていた自分、ともに約束した親友。   『そうだよな…お前がいつも傍にいたんだよな。』   和孝は、ゆっくりとドリブルのスピードを上げはじめた。   和孝の頭には、あの日の約束がよみがえる。   「お前は俺が最高のストライカーにしてやるんだったよな…なぁ…信哉!!」   和孝は、トップスピードのまま、ペナルティーエリアに侵入した。   信哉は、それを見て、和孝にむかって、走っていく。  「信哉!!」   「和孝!」   二人は、すれ違いざまに、ボールを交換した。   さすがの龍之介も、これには虚をつかれたのか、ついていくことができない。
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