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「とりあえず健吾ほっといて行くか」
「俺はとりあえずで切り替えられちゃう存在なのかよ!」
「当たり前だ。なんせパシリだからな」
「俺はパシリじゃねぇ!」
健吾は砂幻にひとしきりもてあそばれた後、とりあえず話しを戻した。
「……で場所はどこだ?」
「元ボーリング場の廃ビルだ」
「なるほど。で、どう分ける? 百・百でわけるか?」
「いや、百七十・三十で」
「……どっちが三十だ?」
「決まってるだろ。俺が三十」
わりかし真剣な表情で返す砂幻に、健吾は呆れた。
「お前の喧嘩なんだからもっと相手にしろよ!」
「だるい」
「本音を出すな」
「だって高々不良二百人だぞ?」
「普通ならびびる数字なんだけどな」
二人のやりとりを再度影から見ている男。
「……廃……ビル……」
男はそれだけ言い残して、消えた。
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