対猛人

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「いつものことだからしょうがないけど……怪我だけはしないでね」 「わかった。じゃあ容赦なく叩き潰してくるわ」 砂幻が邪気の無い笑顔を渚に向けた。 渚にだけ向けられる笑顔だ。 「……」 渚は砂幻の目が後ろを見てる事に気付いた。 「どうしたの?」 「いや……何でもねえ。じゃあ行くか」 「うん」 「……おぉ」 教室に向かって歩き始めるが、砂幻と健吾はもう一度だけ後ろを見たが、すぐに向き直った。 それをずっと、影から見ている人物がいた。 「……狂……人……」 声からして、男だというのがわかる。 急に、下駄箱からガリッという音を出した。 下駄箱には深い四本の傷跡が出来ていた。 「……覚悟……しておけ」 その男は、消えるようにその場から立ち去った。
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